水に含まれる有害物質(JIS対象)

汚染の主な原因。

有機物質による河川・湖沼の汚染

有機物質による河川・湖沼の汚染

生活排水

生活廃水やゴミの流入、農地からの肥料分の流入などにより、窒素やリンなどの濃度があがり、富栄養化が進む。アオコなどの発生の原因になる。

工場排水(産廃処理場などからの有毒物資の流出)

洗剤などの汚染により、川面が泡で白濁することも。

ゴルフ場などで農薬の大量使用(殺虫剤・殺菌剤・除草剤など)

重金属類やダイオキシン、ヒ素などの毒性の強い化学物質が流出。

芝の手入れに気を使うことから、使用してはいけない農薬を使ったり、基準値以上の農薬を使ったりする。

ハイテク汚染
半導体などの洗浄のために有機溶剤系の物質が流れ込む。

環境ホルモン

いくつかの有機塩素化合物やプラスチック分解物など、ホルモンに類似した作用を持つ人口化学物質

水に含まれる有害物質(JIS対象)

水に含まれる有害物質(JIS対象)

→カルキ臭の原因、発ガン物質のトリハロメタン生成のもと水道水などを塩素消毒した結果、水中に残留した酸化力を有する形の塩素(有効塩素)のこと。遊離 残留塩素(次亜塩素酸や次亜塩素酸イオン)と、結合残留塩素(アンモニアや有機性窒素化合物等と結合した塩素)があり、自然界には存在せず、塩素イオンと は化学的に性質が異なるところが特徴。

水道法では、蛇口における水が遊離残留塩素0.1mg/l(0.1ppm)以上、結合残留塩素の場合は0.4mg/l(0.4ppm)以上を保持するよう に、浄水施設で塩素消毒することが定められているが、残留塩素は塩素臭(カルキ臭)があるほか、水道水源の汚濁化に伴う塩素処理によって、トリハロメタン などの発ガン性物質を生成することも指摘されている。

濁り(JIS対象)→悪臭発生など

濁りとは水中に微細な粒子が分散している状態で、光の透過を減らし、水本来の透明さが妨げられている状態をいいます。水の清濁、汚染状態、水処理効果の判定などで重要。粘土性物質、鉄、マンガンなどの化学変化したもの、プランクトン、微生物などが原因。

トリハロメタン(JIS対象)→症状:発ガン性

水道水の塩素消毒などによって生じる有機ハロゲン化合物。分子中に塩素、あるいは臭素もしくはその両者の原子をあわせて3個含んでいます。代表的なものであるクロロホルムCHCl3には発ガン性があります。THMと略す。

塩素…水道消毒の塩素は産業廃棄物?

日本の水道水には、トリハロメタンが含まれていると問題になっても、いまだに行政は水道水の消毒方法を急速に変えようとはしない。それは、これを変えると 産業界が狂ってしまうからだ、という声がある。現在、ソーダ会社は外国から岩塩を輸入して、電気分解で分離しカセイソーダを作っており、そのときにできる 塩素は産業廃棄物といっていい。これを、塩化ビニルの原料にしたり、殺菌剤の原料にしている。つまり、日本の水道水や下水の殺菌処理は、この産廃を有効利 用するために、塩素による殺菌を続けているのだ。

農薬(シマジン・ダイオキシン系など)(JIS対象)→症状:発ガン性、催奇性

世界の耕地面積でいうと日本は世界の0.3%にしか相当しません。それでも、世界中の農薬の12%を使用しているといわれています。これは、アメリカの6倍、ヨーロッパの7倍にあたります。なんと、ベトナム戦争で使われた量以上の「枯れ葉剤」がまかれている、というのが日本の現状な のです。これら耕地でまかれた農薬類は雨などに流され、河川に流入していきます。これらの農薬の怖いところは、体内に蓄積されていくものがあることです。 特にダイオキシン系列のものは農薬でも最強・最悪の物質で、ほとんどが体内から排出されません。唯一、排出されるのが、なんと母乳という皮肉な結果であ り、私たちのかけがえのない子孫にその影響が伝わってしまうのです。

2-メチルイソボルネール<2-MIB>(JIS対象)→かび臭の原因

微生物が生み出すかび臭物質のひとつ。通常の急速ろ過処理では除去は不可能な物質です。活性炭などでの除去が必要。

溶解性鉛(JIS対象)→症状:発ガン性、知能低下

蓄電池、合金、塗料、ガラスなどを扱う工場からの排水により汚染される。水道管からの溶出鉛などもある。現段階では浄水場での除去は不可能。

トリクロロエチレン(JIS対象)・PCBなど有機化学物質→症状:嘔吐、腹痛、一時的意識不明、催奇性

有機塩素系溶剤のひとつ。分子式C2HCl3(トリクロロエチレン,=は二重結合)不燃性で有毒。ドライ・クリーニングや半導体工場での洗浄に用いられています。水道水源の汚染が懸念され、水質汚濁防止法により規制される。

ダイオキシン→症状:皮膚・内臓障害、発ガン性、催奇性

ポリクロロジベンゾジオキシン(PCDD)の俗称。毒性が強く分解されにくい化合物で、皮膚・内臓障害を起こし、催奇形性・発ガン性があるものが少なくあ りません。除草剤などの分解で生成するといわれ、都市のごみ焼却の灰、製紙の汚泥、自動車の排ガス中に見出されており、環境汚染物質として問題となってい ます。

有害細菌(大腸菌O-157など)→症状:下痢、腹痛、死にいたることも

O-157…病原性大腸菌のひとつ。ヒトや動物の腸管内に侵入すると、タンパク質の一種であるベロ毒素を放出し、激しい下痢や腹痛を起こします。{O血清型を持つ157番目に発見されたものの意}

クリプトスポリジウム(原虫)→症状:下痢、食中毒

1996年6月初旬、埼玉県越生町で集団性下痢(もしくは下痢)が発生。13,000人の町人口のうち約65%の9,000人が感染しました。水道水が原因で起こったもので、1997年4月にNHKでも取り上げられたくらい社会問題となりました。
これは、クリプトスポリジウムという原虫がその原因となっていました。この原虫は塩素消毒に対する強さが、大腸菌の数69万倍の抵抗力を持っているという恐ろしいものです。これらの原虫には、ほかにもジアルディア、エキノコックスなどがあります。

環境ホルモン(ビスフェノールA、フタル酸エステルなど)→症状:生殖機能異常

環境ホルモンの特に問題になっている点は、生物の存続の危うくする生殖や発育への深刻な影響です。生物の種類によって表れる障害は異なりますが、雌では性 成熟の遅れ、生殖可能齢の短縮、妊娠維持困難・流産などが見出され、雄では精巣萎縮、精子減少、性行動の異常等との関連が報告されています。

具体例を列挙すれば、アメリカのアポプカ湖ではワニの雄の生殖器が小さくなり子ワニの数が減少(農薬DDTとのその誘導体が原因)、イギリスのある川では 魚に雌雄同体が多数発生(洗剤に関連するノニルフェノールが原因)、世界各地のイルカやアザラシの大量死(PCBが原因の一部と考えられる例がありま す)、日本でのイボニシなどの貝の雌の雄化による繁殖低減(防汚剤として船底用塗料に含まれるトリブチルスズなどが原因)、等々で各地域独特の弊害があぶ り出されています。
人間についても例えば精子数の減少が指摘され、デンマークでは1938年から1990年の間にほぼ半減というデータが示されました。この報告には反論と支 持が出されましたが、他の国でも類似のデータが示され、動物実験での確認例もあって減少傾向は否定できないようです。日本でも若者34人の精子濃度等の検 査で世界保健機関の基準を満たしたのが、1名だけという報告がありました。

また、胚や胎児の段階での環境ホルモン暴露の影響は大きく、事故などで高濃度に曝されて生まれた子どもには、成長の遅れや行動上の問題が指摘されていま す。環境ホルモンは極めて微量でも作用するため、とりわけ様々なホルモンが重要な働きを示す胎児・乳児の時期に摂取した影響が、成長に伴ってあるいは次世 代にどのように発現するのか、長期的な調査が必要です。

放射性汚染物質→症状:発ガン性、遺伝子に影響

放射性物質の混入ルートとしては、核実験などにより、大気中に放出された放射性物質が雨などと共に水源に入るものや、原子力発電所、および大学や病院など の施設からの廃液などが挙げられます。放射性物質は発ガン性を示すとともに、生殖組織内の遺伝子や染色体に影響を与えます。

アスベスト(石綿)→症状:疑発ガン性

アスベスト(石綿)は、水道管に混合されて使われていたもので、現在でも日本全国の配管の6%に使われています。水道統計によると東京都で12%、千葉県 のある市では、なんと52%の割合で存在しているといわれています。アスベストは“疑発ガン性物質”といわれている物質です。(1998年度発行 水道統計より)

溶解性鉛の恐怖

水道管から溶け出す鉛=溶解性鉛。知能低下、神経障害、腎臓障害などを引き起こす怖い物質水道管の多くには鉛が使用されています。特に家庭の水道配管が鉛 の場合、必ず水道水中に鉛が溶出しているといっていいでしょう。この溶け出した鉛=溶解性鉛は、知能低下(特に小児への影響大)、神経障害、消化管障害、 不眠、脳炎、痴呆、腎臓障害などの原因となる非常に恐ろしい物質です。1987年に全面使用禁止となり、撤去工事が進められていますが、国内にはまだ 850万世帯分以上(朝日新聞2001.5.8)も鉛製水道管が残っているといいます。

ヒ素の恐怖

過去にも大規模な中毒事件を引き起こした怖い有害化学物質。発ガン性物質にも指定されている各種の金属の鉱石とともに産出する元素です。その化合物が木材防腐剤や防アリ剤、農薬(殺菌剤)などに幅広く用いられています。ヒ素化合物(特に亜ヒ酸 塩)は一般的に急性毒性が強く、多くの毒物に指定されています。慢性的に体内に侵入したときにも、消化器系、肝臓、皮膚および粘膜の障害、貧血などをひき おこします。わが国で、1955年にヒ素が混入したドライミルクによる大規模な中毒事件が発生し、被害者が全国で1万2000人以上(うち死者131人) に達したのはその例です。また、最近でも北海道や九州の一部で鉱脈からでる自然ヒ素が地下水を汚染するなどの深刻な問題を引き起こしています。また、ヒ素 は、WHOやアメリカ、日本でも、発ガン性物質として指定されている物質でもあるのです。

硝酸性窒素

化学肥料に含まれた窒素は、土中で微生物などにより、酸化され、そして硝酸性窒素へと変化します。そしてこれが、地下水に侵入し、さらに、この地下水が水 道水源として使われることで、私たちの家庭にまで到達するのです。現在、水道の約26%が地下水源を利用しています。近年になってその毒性が非常に危険視され、ブルーベビー病の発症や強力な発ガン物質としてその基準値が見直されている物質で、浄水場でも、現在の浄水器でも取り去ることの出来ない恐ろしい有害物質です。

その詳細は「新たな時代の脅威」のページで詳しく解説しています。

その他の溶解性重金属の恐怖

人に恐ろしい中毒症状を与える、数々の水に溶けこむ有害重金属物質カドミウム/亜鉛族元素のひとつ。青白色の固体金属。合金・半導体の製造に用い、耐食性 に富み、メッキなどに用いられます。また、原子炉の制御材としても使用されます。水に溶解したイオン状態のカドミウムは有毒で「イタイイタイ病」の原因と もなりました。水銀/亜鉛族元素のひとつ。常温で液体である唯一の金属です。体温計・圧力計・水銀灯などに用いられています。有明海沿岸などで魚介類を摂 取することによって起こった中毒症状「水俣病」はこの近辺にある水銀取扱い工場が原因となっていました。六価クロム/酸化数が6のクロムを含む化合物・イ オン。昭和48年3月、東京の地下鉄工事中に化学工場の跡地から六価クロム化合物を含む土壌が発見され、大きな社会問題となりました。生物に対する毒性が とても強い。六価クロムによる水質汚染問題は、ハリウッド映画「エリンブロコビッチ<ジュリアロバーツ主演>」の題材にもなっています